『主従の法則』より一部抜粋
「契約の印、つけてみろよ?」
「……契約」
俺は少し黙り込んで、膝を折る。そして、花宮の綺麗に磨かれた軍靴に、そっとキスをした。
「……70点」
少し不満だったらしい花宮は、クイ、と俺の顎を掴んで目の前まで持っていく。
「印っつたら、こーだろ、バカ」
軍服のボタンを一つ、瞬く間に外すと、花宮が俺の首に噛み付く。
「……っん、ふっ……はっ……」
花宮の、声が切れ切れに聞こえる。喘ぎ声にも似た声が、俺を震わせる。
「花宮……っ」
ペロリ、と名残惜しげに舌が離れていく。ニィ、と花宮の満足げな瞳が、俺を捉えて離さない。
「これ以上の覚悟も、しとけよ?」
「しておく」
ス、と花宮が離れて、窓へと向かう。
「部屋、キレイにしておけよ」
「はっ」
ボタンを直して、俺は部屋に戻る。チリリ、と首筋に痛みを感じて、俺は後で鏡で確認しておこう、と思う。きっと、スゴイ事になっている。