『君を食べたいんです。』より一部抜粋

「……ふう」

「出来たな……」

皿に並べられた料理を見て、俺は合格点を与える。初めてにしては筋が良いし、黒子は細かい作業が実は結構、得意なのかもしれない。

「さて、食うとするか!」

小さく盛られた白米に、俺より二回りくらいは小さいハンバーグとサラダ。よくそんな量で、あの激しいトレーニングに付いて行けるものだ、と感心してしまう。(時々ヘバっている時もあるといえばあるのだが)

「いただきます」

「ん」

二人での食事、というのは久しぶりだったな、と白米を口一杯に含みながら、目の前の相手を見る。

ちょこちょこと全ての食事を少しずつ食べながら、口をモグモグと動かす黒子。何だか、小さな子供を見ているような気がして、つい、手が出てしまった。

「……口、付いてる」

「あ、すみません」

米粒を一つ、俺は口に入れてから、何だか気恥ずかしくなって横を向いてハンバーグを一欠片、頬張る。何であんな事をしたんだろう、俺は……!


他三作あり