そして彼らは今夜も笑う

「「メリークリスマス!!」」
パン、と小気味良い音と色とりどりのカラーテープが宙を舞い、パーティーは始まった。
「いきなり食い始めんな、火神!!」
テーブルに置いてあったローストチキンに手を伸ばす火神を咎める日向もどこか楽しげだ。
「ジャジャーン♪まずはビンゴやろうよー!!」
どこからか小金井が取り出したビンゴボードに、会場の雰囲気は一気に盛り上がる。
「優勝商品は何にしたんだ、コガ?」
それらしい物は見当たらないみたいだけど、と辺りを見渡す伊月に、コガがフフンと得意気に鼻を鳴らす。
「今回は特別だよ…なんと!!勝った人の願いを一つ叶えちゃいます!!」
「「は???」」
不思議そうに目を瞬かせる部員達に、リコが苦笑いを浮かべながらあのね、と付け加えた。
「実は、ビンゴをやるって決まったのが昨日の事で、優勝商品を選ぶ暇が無かっ
たのよ…だから、勝った人の欲しい物を聞いてそれをプレゼントにするわ」
ある程度の金額の物までなら大丈夫だから遠慮なく言ってね、とすまなそうに言うリコに、日向が肩を叩く。
「逆に良いかもしれないぞ?皆、趣味も違うし…なぁ?」
日向の問いかけに口々に肯定の言葉を述べる部員達にリコはホッとした様子で笑みを浮かべた。
「じゃあ、始めましょ!!…って、どうしたのよ、鉄平…難しい顔しちゃって」
「なぁ、リコ…優勝商品って、ホントに何でも良いんだよな?」
険しい表情で質問する木吉に周りの者も思わず黙ってしまう。
「…まぁ、凄く高い物とかは無理だけど…ちなみに何が欲しいのよ?」
―一体、何が欲しいんだ…?!
尚も真剣な表情の木吉に、部員達の注目が集まる。
「日g「…っの、ダァホ!!」
木吉が口を開くと同時に日向の鉄拳が飛ぶが、木吉はそれを難なく避けて笑っている。
「照れんなって…抱き締めたくなるだろ?」
「黙れ、バカ!!その口を一生開けなくしてやる…ッ!!」
ギャアギャアと叫ぶ日向とヘラヘラ笑っている木吉達を尻目に、先程まで大人しく黙っていた黒子がリコに近付いた。
「…あの、僕は火神くんを貰いたいんですが」
良いですか、と小首を傾げながら尋ねる黒子の様子に、リコは頭を抱えるしかなかった。
―もうヤダ、このチーム…!!
ちなみに、この後行われたビンゴの優勝者がリコとなり、次の日から一週間のトレーニングメニューの量が三倍になったのはまた別の話。