「アイツ、制圧したぞ」
『おおー、予想通りだったな』
「ああ?!」
鉄平の平然とした返事に俺は思わず立ち上がる。まさか、そこまで計算済みだったとは思わなかった。
『いやー、期待通りのルーキー達でホッとしたよ』
「……達?」
『あ、日向には言ってなかったっけ、黒子の事』
のほほんと言い退ける鉄平に、この野郎、と悪態を吐く。多分目の前にいたら、鉄拳が飛んだと思う。
『何か、今回の奴ら、他の繋がりとかもありそうだったからさ、黒子に機密資料とか取りに行ってもらったんだよな』
「……そうかよ」
鉄平達の掌で転がされている、というのは正直苛立たしい事だが、きっとコイツなら平然と敵を騙すならまずは味方からだろー、などと言ってきそうなので、俺は素っ気なく返事をする。
「とりあえず、任務は無事に成功した。火神達が戻ってきたら帰還する」
『お疲れさん』
ピ、と通信を切り、全兵に帰還を指示する。
帰ったら何て文句言ってやろうか、と考えながら、俺は椅子に座り直した。
今夜も、綺麗な夜空が見えた。
「日向君、怒ってたでしょ」
リコが後ろから笑いを堪える様にこちらを見る。俺は苦笑を浮かべながら、帰ってくるのが怖いなと返した。
「アイツ、俺達が黙ってると怒るもんな。上の奴らにばっか責任取らせてたまるかって」
「日向君なりの優しさなんでしょ。私達ばっかり汚れ役を引き受けるのはフェアじゃないと思ってるのよ」
まあ、今回は花丸ね、とリコが笑う。俺達の軍勢はほぼ無傷だ。火神の力は俺達の予想を超えるものなのかもしれない。
「明日が怖いなー」
「それくらい、受け止めてやんなさいよ」
「リコだって同じなのにいつも俺ばっかだ」
私、女の子だからなどと平然と言い退ける策士に、俺は溜息を吐いて窓を見る。
「今夜も、平和だな」
俺達が居る限り、この国の平和は絶対守ってみせる。
大元帥達の前で、俺は誓ったのだ。この身が壊れようとも、この国は壊せはしない―と。
「明日も、明後日も、平和だと良いな」
キラリと、一番星が一際瞬いているようだった。
Fin.