「かーさまつ!」
「ん?何だよ……つかお前、ここ志望校だっけ?」
むしろ逆じゃね?と笠松が首を傾げるのを無視して、森山は先に歩き出す。
「いーの、いーの。俺だって他の大学見て、比較したいんだよ」
「ふーん……」
このままオープンキャンパスを何となく二人で過ごして、笠松の家に戻れば良いのだ。
タイミングの良い事に、昨日から笠松の両親は出張で出掛けていて、黄瀬と一緒に受験勉強の一環と称して、押し掛けた。
そういう事は前からよくやっていたから、笠松も不審がる事無く森山達を受け入れてくれた。森山は上手くいった、と思わずガッツポーズする所だった。
「気に入ってくれっかなあ〜……」
「ん?」
「あーいや、ここの女子大生、凄い可愛いからさー俺のアピール、効いたかなあって思ってさ」
「……お前はこんな所でもそれか」
「いーじゃん!俺、大学生活もエンジョイしたいし〜」
「あーはいはい、勝手にほざいてろ」
フイ、と森山に背を向けて先を歩いてしまう笠松をじっと見つめてから、そっと笑った。本当は、笠松の誕生日に二人でいられる事が嬉しくて、しょうがなかった。そして、これから起こるであろうサプライズプレゼントに、笠松がどんな顔をしてくれるのか楽しみでしょうがなかった。
「楽しもうな、これからも」
「は?」
「んーん、こっちの話!」
大学に行っても、社会人になっても、三人でずっと幸せでいられたら、嬉しいから。絶対、俺達は違う道に進んで、違う人生を歩んでいくんだろうと思う。でも、三人でずっと居られる様な、そんな気がするから。だから、不安じゃあない。
「さーてと、次の可愛い先輩探しに行きますか!」
「見学するだけだよ、バカ!」
これからもずっと、こんな風に笑っていたいから。森山はニッコリと笑みを深くして笠松の後ろに歩み寄った。
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