「もー……何でオレがこんな役回りなんスかあ……」
折り紙で作った輪をドンドン繋げ、それを窓の淵に掛けていく。子供らしいな、なんて最初は思っていたのに、気付けば夢中で工作する自分がいた。
ケーキは、さっき森山から届いたメールを合図に予約していた物を取りに行った。プレゼントだって、ささやかな物(あまり豪奢な物は笠松が嫌がるからなるべく質素な物を心掛けた)だけれど、用意した。
「準備、万端じゃないッスか?」
なかなかの出来に、我ながら感心する。後は二人が帰ってくれば、完璧だ。
(どんな風に、思うんだろ……)
ビックリ、するかなあ。それとも、驚きの余り、肩パンを喰らうだろうか。
どっちにしても、最終的には照れ臭そうに笑ってくれそうな気がして、フワアと心が温かくなる。
(喜んでくれたら、良いなあ)
もしかしたら、こんな事を出来るのは最後かもしれない。それでも、今この瞬間が幸せに包まれれば良いと思う。だって、好きな人が一瞬でも幸せになってくれるのは、凄く凄く嬉しい事だから。
「早く帰ってこないかなあー」
ポツリと呟いた言葉が跳ねて、落ちていく。
一人で居る事には慣れた筈だったのに、三人で居る事が当たり前になってしまったような気がする。来年になったら、彼らは自分の知らない所に行ってしまうというのに。
「どうしたら良いんスかねえ、オレはー」
誰に話しかける訳でもなく、疑問を口にする。答えなど、とうに自分の中では出来ていて、それを突き出すのは至極簡単ではあるのだけれど、結局一度も出せていない。
彼らが、甘やかしてくれるから、勘違いしてしまう。ずっと、一緒にいても良いのだと、ずっと三人でいる事が普通であるのだ、と。
「どーしてくれるんスかね、全く!」
こうなったら、嫌と言われようが付いていってやる。彼らがいなければ、生きていけないんだと我儘を言ってやる。
(年下の、権限だろ……!!)
うっし、と身体をソファから離し、立ち上がる。そろそろ、帰ってくる時間に違いない。
「オレなんかを留守番にさせた罰ッスよ!!」
クラッカーを両手に持って。黄瀬は、二人が帰ってくるであろう、玄関へ向かう。絶対ビックリさせてやるんだ、と心に決めて。

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