完全敗北だった。
もしかしたら赤司が手を抜いてくれるかもしれないなどと考えていた自分が恥ずかしい。
「先輩、本当に弱いですね?」
「悪かったな、ザコで…でも、それも想定内なんだろ」
「どうでしょう…この後は僕にも分からないですから」
赤司の表情がどこか不安げに歪んだように見えたのは、窓から射し込む夕陽のせいなのだろうか。
「…で、質問ってのは?」
「潔いですね」
「俺の唯一の長所だからな…じゃなくて、どうしても聞きたかったんだろ」
「まぁ…聞きたいといえば聞きたいですけど」
曖昧に言葉を濁す赤司はいつものような絶対的な自信が見られず、俺が逆に不安になってしまう。
赤司はそっと息を吐き出すと、真っ直ぐこちらを見つめて口を開いた。
「先輩は、俺の事をどう思いますか」
「へ…」
心臓が止まってしまうかと思った。
赤司は俺の感情も何もかも見透かしているんじゃないか、そう思わずにはいられない。
「えっとだな…それはどういう」
「単刀直入言った方が良いんですか?先輩は…俺の事を好きですか」
頭がクラクラする。
俺は真っ白になった頭を必死に回して言葉の意味を整理してみても、答えは一つしか考えられなかった。
―言っても、良いんだろうか。
告げてしまえば逃げる事は許されない。
『情けない先輩』のままではもう、いられない。
ドクドクと身体中を巡る血液が沸騰してしまうんじゃないかってくらい慌ただしい。
「俺は…」
紅の瞳が俺を掴んで離さない。
俺はもう一度息を吸って、その双眸を真っ直ぐに見返した。
この瞳を、全てを離したくないと思う。
「俺は、お前が…赤司が好きだ」
「遅すぎです」

ハァ、と溜め息を吐きながらも赤司はどこか愉しげに口角を歪めているように見えるのは俺の欲目だろうか。
「…で、言ったからには覚悟出来てるんですよね」
「へ」
「俺は一度手中に入れたら壊すまで離しませんよ?」
スッと瞳を細める姿に思わず見惚れてしまったなんて、俺も単純な男だ。
「…お、俺が離す訳ねぇだろ、そっちこそ覚悟してろよ?」
「…期待せずに待ってますよ」
気配を感じさせない軽やかなステップで近付いて触れるか触れないくらいの口付けに微笑み。
「精々、頑張って下さい」
あぁ、コイツには一生勝てない気がする。

To be continued...?
Back

Top